※ゲーム上、話しすぎると不利になる可能性があります。
ずっと当主の継承を目指して鍛錬してきた。ろく兵衛からは師範代の座を与えられている。
真剣の帯刀を許され、それを使った実戦形式の稽古をつけてもらうこともある。
また、骨を断つほどの剛剣で「腕斬り」の異名を轟かせた燕万吉(つばめ・まんきち)は、俺の先祖にあたる大剣豪だ。実力も血筋も、俺には確かな自負がある。
しかし最近、天才肌のゆき丸が実力を伸ばしてきた。
ろく兵衛は目をかけており、いよいよ師範代への登用も考えているようだ。
このままでは次期当主の座を奪われるのではないか。
真剣を用いた稽古では、いつもあと一歩のところでろく兵衛に及ばない。
「当主の剣を超えられない者に、次の当主を襲名することはできぬぞ。」
ろく兵衛が俺の喉元で刃を寸止めして放った言葉だ。もっと強くならねば。
そんな矢先、我が師、ろく兵衛は逝った。死についての真相はまったくわからない。
だが遺体の鮮やかな切り口から、他殺であることは容易に把握できた。
朝、遺体を見つけとき、これは次期当主におさまる好機だと感じた。
俺の実力は、門弟たち皆も認めるところであろう。
あとはろく兵衛に信頼されていた証拠さえあれば。
師の死のどさくさに紛れて、ろく兵衛の持つ名刀『はねきり』を盗もうと思いついた。
関係者に連絡をとりにいくふりをして死体の見つかった稽古場から離れた。
中庭を通って土蔵に行き、保管されている『はねきり』を手に入れた。
生前にこれを託されていたことにすれば、信頼を得られるだろう。
土蔵から立ち去る際に、池のほうに人影を見た。何かが水に落ちる音もきこえた。
姿を見られてはまずいので、急いで稽古場へ戻った。
死の真相。当主の継承。それぞれについて考えを巡らせながら、俺こそが次期当主の襲名の条件を満たしていることにしてしまおう。大胆な嘘も必要になりそうだ。