あらすじ
昼すこし前。照りつける太陽。カオホンマリ・タウン。
賑わう街頭。蒸気で浮かぶブリキのバイク。歯車を鳴らして構造を変える歩道橋。
そんな往来をきょろきょろと見回す青年。
一緒に歩いている男が青年に声をかける。
「良い街だろ?とりあえず、今日は俺たちの家に泊まっていきな」
その隣の女も青年に尋ねる。
「・・・それにしてもあなた、なぜあの寺院で倒れていたの?」
「わからない。目が覚めたらあそこにいたんだ」
3人についてきている小さな薄桃色の動物も、あきれたような調子で鳴く。
「ブゥブゥ」
男女とこの青年の出会いは、この日の朝に遡る。
カオホンマリ・タウン近郊にある寺院。
その展望塔へと上った2人と1匹は、謎の青年を発見した。
「・・・厄介なことになったわね・・・」
「保安官のとこに届けてもいいが・・・そしたら今日は一日つぶれちまいそうだな」
ひとまず2人は、この謎の青年を自分たちの家へ連れていくことを決めたのだった。
「なんたって今宵は、あの彗星が見られる夜だしな」
「ブゥ!」