※ゲーム上、話しすぎると不利になる可能性があります。
わたしと父は二人きりの大切な家族。だからお互いに支え合わなければならない。
でも半年ほど前から、父は仕事でもないのに夜に家から出かけることが増えた。
3週間ほど前、父を尾行したわたしは知ることになった。「悪魔の棲家」の秘密を。
村の南端のさらに先には古い小屋があり、そこに未亡人のヴァルヴァラが住んでいた。
たしか1年前に夫を亡くし、最近は村で見かけなくなっていた女だ。
父は食糧や雑貨を持ってその小屋を訪ね、その見返りにヴァルヴァラと床を共にしていたようだった。
尊敬していた父に裏切られた気分になった。そして、父を堕落させているヴァルヴァラを恨んだ。
あの女さえいなければ、父は正気に戻れるだろうか。
誰にも相談できず、イワンやボリスに家族の話をすることを避けるようになっていった。
そんな折、ヤーコフがこの村で保護された。柔和な雰囲気を持つ男だった。
村の大人たちと少し違うその眼差しに惹かれて、私はヤーコフに悩みを打ち明けた。
1週間ほど前、聖堂での介抱の当番の際。「悪魔の棲家」についても洗いざらい喋った。
「辛かったね、ナターリヤ。何か力になれたらいいのだけれど」
昨日の行動。
早朝に起床。聖堂へ向かい、ボリスの母親とヤーコフの介抱を交替する。本来は私の番ではなかったが、前日にボリスから頼まれて、早朝から正午までの世話をすることになったのだ。
とりとめのない雑談をして過ごしたが、昼すこし前、真剣な顔でヤーコフが囁いた。
「二人だけの秘密だよ、ナターリヤ。君たちの秘密基地をよく探してごらん。
褐色の粉を包んだ袋があるはずだ。種火さえあれば、よく燃える。あとはわかるね?」
正午ちょうど、イワンにヤーコフの世話を交替して、村の北端にある秘密基地へ向かう。
道中、神に祈りを捧げる。いつもより心を込めて。うまくいきますように。
秘密基地の棚には、確かに袋があった。粉も入っている。それを持って帰宅する。
父の帰りは仕事で遅くなるはずだった。ろうそくに火を灯して「悪魔の棲家」へ走った。
ヴァルヴァラは留守のようで、小屋に人気は無かった。この場所さえなくなれば。
私は褐色の粉を撒いて、火を放った。ちょうど日が沈む1時間前のことだ。
15分がたった。「悪魔の棲家」は猛々しい炎に包まれ、異様な煙が夕暮れの空に立ち昇る。
ただ火をつけるだけではこうならない。褐色の粉の効果だろう。
「おい、なんだ、これは!早く消さないと!」
向こうから農夫のピョートルの声がしたので、わたしは走って逃げ去った。
背格好はともかく、顔までは見られていないだろう。
家に帰って、寝床に入った。動悸が激しくなっていた。これで全て解決するだろうか。
日が沈んだころ、家の窓から外を眺めると、イワンが外を走っている姿が見えた。
忌むべき時間とされる夜に、何をしていたのだろう。
そういえばイワンは、ときどき村から忽然と姿を消すことがある。