※ゲーム上、話しすぎると不利になる可能性があります。
誰にも内緒で、山に遊びにいくことがある。村の南端のほんの少し先には森への入り口があるのだ。
そういえばここ数か月、村の南端のさらに先へ向かう大人の姿を目にすることがあった。
農夫のピョートルは1回。木こりのユスチンは2回ぐらい。セルゲイも何回か見た。
そういうときは決まって、なにか荷物を抱えてたな。
1週間ほど前、山を散策しているときに革の鞄を拾った。村では見かけないものだし、すごくかっこよかったのでおれの物にすることに決めた。中身は、何かが書かれた紙切れや、何かを包んだ袋。
邪魔だったので、鞄から出して秘密基地の棚に置いておいた。
3日前、聖堂での介抱の当番のとき。鞄を拾ったこと、その中身についてのこと、秘密基地に置いていること、一応ヤーコフに話しておいた。
「珍しいものを拾ったね。イワン、大事にするといい」
ヤーコフは他の大人たちと違って、物腰が柔らかいから好きだ。
3か月前、産まれた子犬を「お前には渡さない」って譲ってくれなかった頑固なピョートルや、
誰に対しても横柄で、妻にも愛想をつかされて逃げられたセルゲイなんかとは大違いだ。
昨日の行動。
昼前に起床。正午からはヤーコフの世話番だったので、聖堂に向かう。
早朝から正午までの当番をしていたナターリヤと交替する。ちょうど祈りの時間だった。
「『祈りの言葉』を唱えて、昼ご飯にしようよ。ヤーコフさんお願い!」
「わかった・・・我々は空を仰ぐ。我々は神々を信じる。心には安寧を、魂には永遠を・・・」
なんだか違和感があったんだけど、それが何かはわからなかった。
そこから数時間はヤーコフと談笑しながら過ごす。いまだ傷は癒えていない様子だ。
日が沈む15分ほど前。ボリスの母親と世話番を交替して聖堂をあとにした。
帰り道は、地面とにらめっこしながら歩いた。また珍しいもの落ちてないかな。
自宅に辿り着いたのは、ちょうど日が沈んだときだった。
両親はまだ、村の中心部にある牛舎から帰ってきていなかった。
家の窓から景色を見ていると、道の脇に佇む男女がいた。薄闇の中、顔は見えにくい。
男は女の肩に手をかけて、自分の方へ引っ張っていこうとしていた。女はひどく取り乱しており、しばらくすると男を振り払って森の方へ走り去っていった。
男はしばらく躊躇ったあと、女を追いかけていった。そのとき、男の正体がわかった。
神への信仰を取り仕切る村唯一の聖職者。そう、ボリスの父親、アズレトだった。
ただならぬ気配を感じて、ボリスに知らせようと家を飛び出した。
だが、夜は忌むべき時間だと言いつけられている。少し走ったあとで、すぐ家に引き返した。
しばらくすると両親が戻ってきたが、何も伝えずに寝床に入った。