「こ、こんなものが!」
門弟のひとりが、ろく兵衛の亡骸の懐から遺言を見つけた。
『常にこの遺書を携えておいた。私が死ねば、これに従って襲名を行うべし。
無用の諍いが起こらぬよう、襲名の詳細について私は伏せてきた。
若き門弟たちには動揺を与えるかもしれぬが、これが一門の流儀である。
次期当主には、先代の実力を超えた者、つまり私を殺した者こそが相応しい。』
ようやく状況を飲み込んだ皆が唖然とするなか・・・
トオルとゆき丸が峻厳(しゅんげん)な面持ちで対峙する。
2人は静かだが鋭い口調で言葉を交わす。
「なるほど、そなたが殺したと言うのなら、襲名するのはそなたになるな。」
「そう。これが連綿と続く『青燕』の作法だったのだ。
当主となる者は、先代の当主と本気で殺し合い、勝利しなければならない。
歴史のなかで何代と重ねられてきた、一門の血の伝統というわけか。」
「そういうことであれば、こちらも尚更あきらめきれないというものだ。」
「往生際が悪いぞ。」
2人の剣士の間には、抜き身の殺気が迸(ほとばし)る。
「当主を殺せば次期当主、であろう?」
「・・・よかろう。」
技と、血と、高みを目指す剣の道。
命賭け・・・いざ、真剣勝負!!
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