沈黙する傍観者

- Collection001 -

結末

私はリトルヒッポ号の船長、パトリック。

ここに見てきたことを記す。


5日前のこと。私は、3人の船員、マーク、ガイ、コリンとともに大洋へ出航した。

だが不幸にも季節外れの嵐に遭遇し、船は難破。

そして熱帯の無人島に辿り着く。一緒に漂着したガイと洞窟を見つけることができた。

しかし、食糧もなければ、いつ助けがくるかの見通しもたたない。

自分たちのおかれた状況を把握したガイは私を襲った。

腕を掴んで抵抗したものの、私は殺され、彼の「非常食」になった。


その直後にマークとコリンが到着した。

2人相手では分が悪いと思ったのだろう。ガイは私が溺死したと彼らに偽証した。

ひとまず私の死体は胃袋の中へ入れられずに済み、洞窟の奥に安置された。

とはいえ日数がたつと、やはりこの非常食が放っておけなくなったようだ。

漂着3日目。

それまで様子を見ていたガイが非常食、つまり、私の死体に口をつけることを提案した。

コリンもそれを受け入れる様子だ。

しかし、旧来の親友だったマークだけは、この亡骸を憐れんでくれたようだ。

漂着4日目の未明、マークは洞窟からそっと抜け出して、林の中に私を埋葬しようとした。しかし、穴を掘るには時間が足りなかった。マークは考えを改め、浜辺へ私を運んだ。

私は海の流れに揺蕩いながら、葬られることになった。

船乗りなら、こんな最期も悪くない。


私は、沈黙する傍観者。

黙って傍らに横たわっていた者。


ここに見てきたことを記す。

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