アトラス・アズ・ロマンス

- Collection007 -

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【パヤーム】
キャラクターシート

キャラクターシートを読み込んでください。(目安時間10分)

基本情報

※ゲーム上、比較的あたりさわりのない情報です。

俺の生まれは盆地の東にある辺境、バガリ・ポロウ区域だ。

20年ほど前、物好きな貴族が開拓をはじめたという噂をたよりにして、若かった俺は谷あいの退屈な田舎の集落を飛び出て、盆地中央にやってきた。

目を閉じれば、この町場が活気づいていく当時の光景がよみがえる。木工の職でなんとか食っていけるまで、がむしゃらに働いてきた自分の半生も。

あの頃からホレシュの活躍は聞き及んでいた。他の測量家たちがためらいがちな遠方まで足を運び、果敢に地理の調査に励んでいるという彼の噂は、市井でも話題にのぼった。

ポロウ盆地の中央から更に先へ、開拓を拡大したい領主たちからの信頼も厚いだろう。

あるとき、商店でバガリ・ポロウ区域の大部分がまとめられた地図の束を見かけて、俺は気まぐれでそれを購入した。領主からお墨付きを与えられたホレシュの地図帳の写しは、たいてい町場でも売り出されていたのだ。

地理の記された羊皮紙をめくりながら、圧倒されるしかなかったのを憶えている。

かつて生まれ住んだ故郷の谷。あの渓流も集落も、取るにたらないものだと思っていた。

だから俺はそこを見限って、町へ出た。振り返ろうともしなかった。しかし、手元の地図の数々には、俺さえ知らなかったバガリ・ポロウの隅々までもが克明に描かれている。

「・・・あ」

地図帳の中ほど、そこに載るのが自分の住んでいたあたりだと気づいて、俺は息をのんだ。

懐かしき郷里、『せせらぎの村』は確かにそこに記されていた。

気恥ずかしいような、誇らしいような気分がした。

そうか。ホレシュはあそこまで歩いたのだ。あの場所を見つけだしてくれたのだ。


実際に彼と対面したのは、3年ほど前のことになる。

雑踏に構えている小さな店の軒先を通りかかったホレシュに、俺は勇んで声をかけた。

「地図帳を買ってくださったのですか。それはありがとう」

紳士的な物腰のホレシュは、実際につき合っても温和な人物であった。

俺たちが打ち解けるのに時間はかからなかった。自分の仕事に手すきがある時季などは、町場の外れにある彼の屋敷へしばしば顔を出すようになった。

ホレシュはことさらに友人や知人を作るような気風ではないらしいが、おたがいの年の頃も近く、子を持つ親同士だということもあって、俺には心を許したのだろう。

重要情報

※ゲーム上、話しすぎると不利になる可能性があります。

昨日。俺は朝からホレシュの屋敷に訪れていた。2階の書斎で気ままな雑談をかわす。

机の上には空っぽの陶器の花瓶。部屋中に並んだ羊皮紙の束。

「そういえば、先生。しあげにとりかかっていた地図帳の一部を、調査の旅先でひったくられたって言っていたな。あれは解決したのかい?」

数週ほど前にホレシュがぼやいていた出来事について尋ねてみた。

「いえ・・・しかし、私も事前に策はうっているので・・・。

それに領主様たちが目を光らせていますし、やがては解決しますよ」

確かにそうだろう。ホレシュは貴族からの寵愛をもうける一角の人士だ。

比べれば、地味な木工で食いぶちを稼ぐ自分。ほんの少しの劣等感に胸がうずく。

「そうか・・・娘さんのほうは最近どうだ。文通でやりとりしているのかい?」

俺は話題を変えた。初めてホレシュと会ったときに交わした話によれば、彼の妻はずっと昔に亡くなっていて、唯一の肉親は離れて暮らす愛娘のみだったはずだ。

ホレシュは話題の転換に面食らったようだが、穏やかな表情をつくって答えた。

「ええ。ついこの前・・・薔薇の花を贈ってくれて」

俺はまた自分がみじめに思えた。年下の女房とのあいだにできた息子は、近ごろ生意気ざかりで、木工の商売へ冷ややかな視線を向けるばかりで跡を継いでくれそうにもない。

「・・・じゃ、また遊びにくるよ。元気で、先生」

比べるほどにいたたまれなかった。話す気力を失っていた俺は帰ることにした。

「ありがとう。また遊びにきてください」

ホレシュは階段を下りた1階の広間まで見送ってくれた。

正面の玄関の鉄扉には相変わらず鍵がかかっていない。ひどく錆びついた錠が、本来の役割を果たしていないのだ。不用心だが、地図に熱中しがちなホレシュらしいとも言える。

手入れのいきとどいていない庭を横切って、俺は屋敷をあとにした。


昼にはまだ少し早かった。屋敷からしばらく歩いていると、向こう側から若い女がやってきた。体にまとう衣は地味な色あいの木綿で、年齢には不釣り合いなほど慎ましい。

その雰囲気にすこし当惑して、すれちがいざまに声をかけてみた。

「あんた・・・ホレシュ先生のお知り合いかい?」

「・・・はい。ギティです。どうぞよろしく」

ホレシュが若い女と親しくしているのは、少し意外に思えた。

「俺はパヤーム。先生とは、割と長い付き合いでね」

俺はつとめてにこやかに挨拶をした。

「そうですか。私は幼い頃から先生にお世話になっています」

会話はそれっきりで、俺は家路を辿り、冴えない日常に戻っていく。


そして今。この尋問室に喚び出され、俺は取り調べを受けている。

ホレシュは殺された。もちろん、友人の死は大きな悲しみだ。しかし、自分の心の底によどんだ邪念があることに俺は気づいていた。

この盆地の誰もが尊敬する測量家、ホレシュ。その近くにいたからこそ、うだつのあがらない自分の平凡な日々がみすぼらしいものに感じられた瞬間が幾度もある。

だからどこかで彼の不幸を願う感情がくすぶっていたのではないか・・・。

しかし、今はそんなことはどうでもいい。俺の人生は続いていく。

妻や息子もいる。この場で疑われて、濡れ衣を着せられるわけにはいかない。

俺が犯人を見つけだせば、羨み続けた友人へのせめてもの弔いになるのだろう。

ミッション

※以下のミッションにしたがってゲームを進めてください。

①ホレシュを殺した犯人が誰なのか考える。
②自分が怪しまれないようにする。

全員がキャラクターシートを読み終えたら、議論パートへ進んでください。

議論パートへ

概要

あらすじ

もともと、このポロウ盆地一帯はひなびた僻地であった。

とりたてて優雅な風景も、さしあたって便利な要所もない。

蕁麻(いらくさ)の茂る谷あいに、ぽつりぽつりと集落が点在するのみであった。

事情が変わったのは20年前。

とある気ままな地方貴族が、この盆地の開拓と整備に乗り出してからだ。

彼はあまり働かず、家来たちが代わりに働き、下人たちはそれよりも更に働かされた。

なにはともあれ。一団が入植に励んだ甲斐あって、今や盆地中央にはささやかな賑わいの町場ができあがっている。

周辺からの移住も着々と増える今日、ポロウ盆地はさしずめ小さな自治領とも言えよう。


さて。これまでもこれからも盆地の開拓にあたって必要不可欠なものがあった。

それは土地をよく知ること。つまり、地図である。

そこで活躍したのが、有志の測量家たちだった。

中央の町場のあれこれで手いっぱいの領主の一団に代わり、測量家たちはポロウ盆地のはしからはしまで東奔西走。

川、林、谷、道、集落・・・多くの地形と地名の情報をかき集め、地図帳を製作した。

社会への貢献のため。測量家としての誇りのため。

そしてもちろん、地図帳と引き換えにもらえる領主からの報奨金のため。


ポロウ盆地は広い。いまだ地図帳に載らぬ場所もまだまだ残っている。

ここ数年は、金貨を稼ぐために盆地を駆けまわる測量家志望の若人も多くなった。

しかし。そんな新参者どもにおしもおされぬ偉大な測量家がいた。

それが此度(こたび)の事件の被害者、ホレシュ氏である。

南のルビヤ・ポロウ区域、東のバガリ・ポロウ区域、北西のゼレシュク・ポロウ区域・・・

彼はいくつもの辺境地へ足を踏み入れ、羊皮紙に筆を走らせた。

調査、計測、製図、提出、また調査、計測、製図、提出。

続々と描きあげられる何冊もの地図帳は領主たちにも好評で、ホレシュ氏はめっぽう重宝されていたのだが・・・。

とにかく。彼は死んだ。


「みなさんご存知のように、昨晩、ホレシュ先生のご遺体が発見されました」

話しているのは、町場でおこる事件の捜査を任される年配の審問官だ。

「場所は、ご自宅の書斎。死因は、左側頭部にうけた殴打。

ご遺体の近くには、血痕のついた陶器の花瓶が落ちていました。凶器でしょう。

部屋じゅう荒らされていましたし、おそらくそこで殺されたと見て間違いない」

審問官は、木格子のむこう側の4人の男女を見やりながら続ける。

「先生の家の近くには、足の不自由なご老人が住んでいましてね。

そのひといわく、昨日、窓の外から見かけたのはあなたたち4人だったそうです」

4人は、ほとんど牢獄と言ってもいい尋問室にて粗末な椅子へ腰かけている。

「すみません。本来ならひとりずつ取り調べるべきですが、なにぶん忙しくて。

どうでしょう。おたがいの証言を照らし合わせて犯人をはっきりさせませんか」


右隣の別の尋問室であがる声が、4人のいる部屋まで響いてくる。

「あたしが盗人だって言うの!?」

「おいおい、正直に認めたほうが楽だぞ」

激高する被疑者の声。なだめる若い審問官の声。

建築が度をこして質素であるせいだろう。問答は壁越しにつつぬけである。


「ああ、隣がうるさくて申し訳ありません。領主様は開拓のほうにご関心が強くて。

ここの設備や人手には、やすやすと金貨が回ってこないのです」

年配の審問官は白髪頭をさすりながら言い訳がましくぼやく。

「ま、とりあえずみなさんの知ることをつきあわせてみてください。

おたがいをうたぐりあって結構ですよ。わたしも適当に口をはさみます」

審問官は4人に有無を言わせず喋り終えると、最後に疲れをにじませて嘆息した。

「拍子のわるい事件です。・・・我々もホレシュ先生へ報告したいことがありましたのに」

プレイ時間の目安

キャラシート読み込み

10分
議論パート①

10分
議論パート②

10分
議論パート③

15分
議論パート④

15分

※議論パート毎に、新たな共通情報①〜④が追加されます。

推理パート

5分
結末、得点計算パート

15分
合計時間

80分

キャラクター選択

プレイヤーはそれぞれ重複しないようにキャラクターを選んでください。

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